スイスの時計メーカーから考える、AIの進化後の人間の生き方

 AIによって、多くの仕事がなくなり、失業者が増えるとよく言われている。

イラストを描く絵師たちばかりか、AIが自分でプログラムをするようになると、プログラマーさえも不要となる。

AI搭載のロボットは、いろいろな職場で人間に代わって働くようになろう。

まさに、人類が今までに経験したことのない時代がやってくる。


だが私は、AIはクオーツ時計の登場に似たところがあるのではないかと考える。

SEIKOは世界最初のクオーツ腕時計、アストロンを1969年に発売した。

SEIKOだけでなく、CITIZENや、その後のCASIOのデジタル時計も加わり、日本製のたいへん安価で非常に正確な腕時計が世界を席巻した。

その結果、スイスの時計メーカーの大半が倒産したり、経営不振に陥った。


だが現在はどうなっているだろう?


スイスの時計会社は、例えばOMEGAなどはSwtchグループの傘下となるなどして、経営を立て直し、ブランド化して高級機械式時計を販売して、日本メーカーからシェアを奪い返している。


OMEGAといえば、アポロの宇宙飛行士たちに採用されたspeedmasterが有名だ。

speedmasterは現在は80万円くらいする。

しかし、Swatchでもspeedmasterを模したモデルを販売している。

グループ傘下のOMEGAと協力して制作したクオーツ式のspeedmasterで、こちらはなんと3万円台だ。

これは危機を乗り越えるためにグループ化した副産物ではあるが、speedmasterが安価で手に入るようになったのは、これまでには考えられなかったことだ。


ほかにも、YAMAHAのDX-7という20万円台のシンセサイザーが1980年代に出てきたときも、世界中のどの曲でも、DX-7の音が聞こえるようになった。

そして、打楽器、弦楽器、そのほかの楽器はシンセがあれば事足りるのではと思われた。

実際に、打ち込みなども含めれば、実際の楽器を演奏することなく、膨大な量の曲が作られている。

そう考えると、ミュージシャンたちの仕事は激減したことになる。


でも、だからといって、さまざまな楽器を演奏するプレーヤーは消滅なんてしていない。


本題に戻るが、AIによって多くの仕事がなくなるのは間違いない。

しかし、スイスの時計メーカーやミュージシャンたちのように、生き延び、新たな活路を見出す可能性は十分にある。


AIがこれから猛烈なスピードで進化して、人智を凌駕する日も近いだろうが、それで人類は終わるわけではない。


むしろ、新しくどう生きていくのか、楽しみである。









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