平手打ちの捉え方の日米の違い

 Will Smithがアカデミー賞の授賞式で、Chris Rockに平手打ちをしました。


このニュースに対して、日本人は、暴力はダメだが、自分の妻に対する言葉の暴力に対して、Willは平手打ちをしただけだ、というWill Smith擁護がネット上では圧倒的に見えます。


それに対して、アメリカではWill Smithに対して、厳しい意見が多いそうです。


今日はこの件自体に言及したいのではなく、この反応の背景にありそうな、日米の違いの感想を書きます。


日本人がWill Smithを擁護するのは、伝統的に平手打ちは見慣れていて、暴力とは別のものと思っているからではないか、と思います。


見慣れているというのは、現実に平手打ちを日常的にやっている、ということではありません。


ドラマや映画で、しばしば見かけるということです。


最近では少ないのかもしれませんが、昭和はもちろん、平成20年くらいまでは、よーく見かけました。


例えば、子供が反抗期になり、親と言い合いになり、その最後の一番盛り上がるところで、親がピシャリと平手打ちをする。


特に、母親が涙ながらに、息子に平手打ちをする。


その後で、息子が母親の愛情に気づくのがクライマックス。


また、別のケースでは、恋人同士が言い争い、彼女が彼氏に平手打ちを喰らわし、「バカ」「わからずや」等の台詞を言いながら、走って去っていく。


彼氏はほほをさすりながら、自分の至らなさや、彼女の本気さに気づき、後を走って追っかける。


なんていうシーンを度々見ました。


私は英語やアメリカの社会や文化を必死で勉強していましたから、こういうシーンを見るたびに、「アメリカではたぶん、NGだろうな」と当時から思っていました。


アメリカは、TV violenceが子供に与える影響に昔から厳しいので、暴力シーンがある場合は、PG13などの規制があります。


日本は世界がグローバル化した2000年前後から、テレビ、映画、ゲーム等のエンターテイメントのレーティングが導入されましたが、アメリカでは1980年代からあったのではないかと思います。


また、ディベート文化があるので、言葉には言葉で返して、手は出しません。


日本の基準からすると、口論、くちげんか、言い争いのレベルの、激しい言い合いが、アメリカのニュース番組やドラマ、映画でしばしば見られます。


相手の意見には、反論していいのがルールなので、お互い言い合います。


言ってる内容がわからなかったので、当時は「よく怒らねぇなぁ」なんて思いました。


いくら言われても、手を挙げることは、基本的にありません。


理由は、日本人のけんかと違って、相手の人格攻撃はしないからです。これをしたら話は別でしょうね。


あくまでもテレビとか映画の話で、実際にアメリカで暮らしていると、いろんな投稿動画にあるように、結構殴り合いに発展しているのかもしませんが。


というわけで、平手打ちに対する文化的風土が違うため、Will Smithを擁護する、しないの違いが日米で顕著に見られるのかなぁ、と思いました。

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